墓誌は必要?書き方や名入れの順番など墓誌の決まり事について解説

監修者の紹介
三輪彰
【資格】
一般社団法人 日本石材産業協会認定 お墓ディレクター1級
【経歴】
業界経歴20年以上。 石材メーカーで営業部に所属し、小売店様へ石材店卸で培った豊富な知識と、採石から施工までの一貫体制でお客様のサポートを行う。 昨今では、光り墓や石材コーティングの提案などもしている。

お墓で墓石の隣に設置される墓誌。お墓を建立する際も、建てる人と建てない人がいるため、どちらがいいのか悩んでしまう方も多いかもしれません。自分のお墓に墓誌が必要か判断するためには、墓誌とはどのようなものかをきちんと理解することが大切です。

 

この記事では、お墓に墓誌を設置する意味や墓誌の必要性、墓誌に刻む文字の書き方など、墓誌に関する決まり事について解説します。

 

 

墓誌(墓誌銘)とは?お墓に設置する意味について

 

「墓誌」とは、お墓で墓石とは別に設置される板状の石碑で、一般的にはお墓に埋葬されている故人の戒名や俗名、年齢、没年月日などを記すものです。

 

このように先祖の情報が入った墓誌は「墓誌銘」といわれ、宗派によっては「法名碑」や「霊標」「戒名碑」などとも呼ばれます。

 

誰がお墓に入っているかを後世に伝えるのが墓誌銘の役割で、墓石のようにお参りの対象ではなく、お墓に埋葬されている故人を記録するために建てられる板石です。

 

もともと、戒名などは墓石に刻まれていたのですが、家ごとのお墓が一般的になってスペースの不足するケースが出てきたため登場したのが墓誌でした。一般的に設置されはじめたのは、30~40年前とあまり古くはありません。そのため、現在でも必ず建てる必要があるわけではありません。

 

 

墓誌が必要になるケース

墓誌は建てなければ故人を供養できないものではないため、設置するかどうかはお墓を建立する人が選択します。では、どういった場合に墓誌を建てたほうが良いのでしょうか。

 

 

墓石のデザインを崩したくない場合

 

1つ目は、完成している墓石のデザインを崩したくない場合です。墓誌は故人の戒名や生前の名前などを刻むための石碑であり、全ての情報を墓石に刻むのであればなくても構いません。

 

しかし、墓石によっては文字などを彫刻すると、全体的なデザインを阻害してしまう場合があります。一般的な和型墓石や洋型墓石ではこのようなことはあまりないのですが、オリジナリティの高いデザイン墓石で起きる事例です。

 

特に、複雑なデザインをしている墓石だと、そもそも文字を彫刻できるような広いスペース自体がないものもあります。また、せっかくの美しく調和のとれたデザインに手を加えたくないと考える方もいるでしょう。

 

そういった墓石では、彫刻によってデザインを崩さないよう墓誌を設置して必要な文字を入れるケースがあります。

 

 

墓石に彫刻した文字がいっぱいになった場合

 

すでに墓石に多くの文字が彫られていて、これ以上彫刻する場所が確保できない場合も墓誌が必要になるケースです。

 

現在、先祖代々受け継がれていくお墓では、一般的に納骨される故人が増えるたびに戒名や没年月日などを記していくため、だんだんと彫刻するスペースが減っていきます。

 

墓石に彫れる人数は限られており、いっぱいになった場合は墓誌を設置する必要があります。

 

さらに、墓誌に彫刻できる故人の数にも限界があるため、将来的にもっと多くの名前を彫らなくてはならない場合には、また新しい墓誌を設置する必要性も出てくるでしょう。

 

 

何度も開眼供養をしたくない場合

 

何度も「開眼供養(かいげんくよう)」をしたくない方も墓誌を設置したほうが良いでしょう。開眼供養は、「開眼法要」「魂入れ」などとも呼ばれ、故人の魂をお墓に入れるための儀式です。逆に魂を抜くための儀式は「閉眼供養(へいげんくよう)」といわれます。

 

お墓へ文字を入れる際は、いきなり墓石に彫刻を行うわけではありません。お寺にもよるものの、閉眼供養で一度故人の魂を抜き、文字を入れ終わってから開眼供養で魂を入れ直す場合もあります。

 

供養の際は、僧侶に読経を依頼しなければならず、時間と手間がかかり、お布施などの費用も必要です。墓誌に彫刻する場合は、基本的に魂抜きなどの儀式は行わなくても構わないとするお寺もあります。

 

そのため、何度も開眼供養を行う手間をかけたくないと考える方は、事前にお寺に確認してから墓誌を建てると良いでしょう。

 

 

基本的な墓誌の書き方

 

墓誌に故人の名前や戒名などを彫刻する際の書き方は、基本的に自由とされ、特別な順番や決まりなどはありません。ただ、地域や宗派によって一部異なるケースがあるため、事前に確認しましょう。ここでは、一般的な墓誌への文字の書き方について解説します。

 

 

墓誌に彫刻する内容

 

墓誌のはじめには、まず標題が刻まれます。標題とは墓誌のタイトルで、浄土真宗では「法名碑」が使われ、そのほかの宗旨では「墓誌」とする場合が多いです。宗教の違いだけでなく、宗旨や宗派によって標題はさまざまです。

 

標題には、額縁加工や額入り加工などといわれる手法が使用され、文字の周囲を額縁で囲むように彫刻するケースが多くなっています。

 

標題に続き、故人の名前を刻む場合には、次の4点を彫刻するのが一般的です。

 

・戒名、洗礼名

・没年月日

・俗名

・没年齢

 

俗名とは、故人の生前の名前で、没年月日は命日の日付です。また、故人の年齢は場合によっては、生まれたときを1歳とする行年(数え年)が使われます。

 

 

墓誌に名前を刻む順番

 

故人の名前は標題の位置によって隣や下に縦書きで刻み、基本的には亡くなった順番に彫刻していきます。ただ、没年順で記載する方法だと、もし子どもが先に亡くなった場合に子どもが親より前に刻まれてしまうなど、家族関係がわかりづらくなることもあります。

 

そのため、夫婦連名で名前を刻んでいく方法もあります。未婚や若くして亡くなった親族などは1人だけで彫刻し、妻が先に亡くなった場合には、隣に夫のスペースを空けておくのが一般的です。

 

故人の関係性はわかりやすくなるものの、自分の名前を彫る場所が用意してあるため、死を意識させられてしまう点は念頭に入れておきましょう。

 

また、空白を作る以外にも、生前に戒名を与えられたり、生前墓を建てたりした場合など、存命中の人物の名前は彫刻した文字に赤い色を入れる方法もあります。

 

 

墓誌を建てる価格

 

実際に墓誌を建てる場合、どれくらいの費用が必要になるのか、価格相場をみていきましょう。

 

墓誌を建てる際の費用には、墓誌本体の料金に加えて、設置工事費、彫刻費用がかかります。墓誌本体と設置工事費の合計は10万~30万円前後が相場です。

 

1人あたりの彫刻費用は3万~5万円程度で、複数人の名前を彫る場合は、彫刻単価×人数が価格になります。単価3万円で2人分なら6万円、5人分なら15万円です。

 

本体代や設置費、彫刻費などを合わせると名前を彫る人数にもよりますが、総額13万~35万円程度必要になると考えておきましょう。

 

ほかに、石材店から墓地までの距離が離れている場合には別途出張費や運送費がかかります。また、彫刻も墓地で彫るか石材店であらかじめ彫っておくかで金額が変わります。

 

 

墓誌を設置するタイミング

墓誌は必ずしも建てなければならないものではないため、設置の時期は自由に選択できます。一般的なタイミングとしては、主に次の2つに分かれます。

 

 

お墓を建立するとき

 

1つ目は、新しくお墓を建立するタイミングです。お墓を建てる際に、合わせて墓誌も購入して設置しておきます。墓石とセットで設置工事を行うため、それぞれ別々に設置するよりも料金が割安になる場合が多く、費用を節約したい方にはおすすめです。

 

最初から墓誌があれば、墓石に戒名や没年月日などを刻んでいく必要がなくなるため、墓石のデザインを自由に決められるのもメリットの1つ。自分らしいデザイン墓石を購入したいと考えている方は検討してみると良いでしょう。

 

すぐに墓誌を使用する予定がない場合でも、墓石と同時に墓誌を設置する人もいます。最初の故人から墓誌に彫刻するケースと墓石に名前を彫刻していき、将来的に埋葬される人が増えてスペースが足りなくなることを見越し、建立時から墓誌を設置するケースです。

 

 

墓石に名前を彫るスペースが無くなったとき

 

もう1つは、墓石に故人の名前を彫刻するスペースが無くなってしまったタイミングです。墓誌は単体でも設置できるため、名前を彫る場所が足りなくなってから購入を考えても遅くはありません。

 

工事費などの総額を計算すると、割高になる可能性があるものの、お墓建立時の初期費用を抑えられるため、どちらがより自分にとってメリットになるかを考えて選んでください。

 

建てた時点で、お墓にどのくらいの家族や親族が埋葬されるのかがはっきりしない場合は、墓誌が必要かどうかしばらく様子をみても良いでしょう。

 

ただし、後から建てると、墓地区画の広さや墓石デザインの関係上、設置するためのスペースが確保できない恐れもあるため注意が必要です。

 

 

墓誌に追加彫刻する方法

 

墓誌に新しく故人の名前等を彫刻する必要が出てきた場合、まずは石材店に追加彫刻の相談をして、現地調査と見積もりを依頼しましょう。彫刻には、現場で作業をする方法と石材店に墓誌を持ち込んで彫ってもらう方法の2種類があります。

 

すでに設置している墓誌に追加で刻む場合、基本的には現地作業になります。ただ、霊園の規則や近隣の迷惑になりそうな場合など、墓地で作業できないケースでは石材店への持ち込みが必要です。

 

墓誌への彫刻には、ゴム製のカッティングシートを貼って文字の部分だけを切り抜き、上からサンドブラストを吹き付ける技法が一般的です。

 

一度彫刻してしまった文字は修正が困難になるため、依頼時は文字の誤りがないように注意しましょう。彫刻内容を伝える際は口頭ではなく、必ず画像や書面に残すようにしてください。

 

 

墓誌に名前を彫るときの追加彫刻費用

 

墓誌に追加で名前を彫刻する際の費用は、設置時の彫刻費とほぼ同じで、3万~5万円が相場です。現地で作業をするか、石材店に持ち込むべきかによっても価格は変わります。石材店で作業を行うケースでは、墓誌の撤去や運搬費用、再設置費用などが別途必要です。

 

また、現地で彫刻してもらう場合でも、石材店から離れたところにある墓地など、場所によっては作業員の出張費用などが発生する可能性があります。

 

見積もり段階で、現地作業と持ち込みのどちらが良いかを石材店によく相談するとともに、ほかに必要な費用がないかも確認しましょう。

 

 

墓誌に名前を彫る期限

 

故人が亡くなってから、墓誌に名前を彫刻するまでの期限については、特に決まりはありません。

 

一般的には、四十九日までに彫るのが1つの目安とされています。しかし、作業日や費用などの関係もあるため、無理をしてまで間に合わせる必要はないでしょう。

 

四十九日を過ぎた場合は、次の仏事に合わせる方法もあり、故人の一周忌や初盆などの際に墓誌に彫刻してもらう方もいます。いずれにしても、遺族にとって納得できるタイミングを選択するようにしましょう。

 

 

墓誌を建てて好みのデザインのお墓を建てよう

墓誌をお墓に設けるかどうかは任意ですが、設置すると文字を彫るために開眼供養を何度も行う必要がなくなるケースが多いです。

 

しかし、墓誌を設置していても開眼供養を行う必要性があるかはお寺によって異なるため、開眼供養の有無についてはお寺に確認してみましょう。

 

また、墓誌を設置するとデザインの自由度が高くなるため、墓誌を設置しておいて、お墓については故人の面影を感じられる墓石を選ぶのも1つの方法です。

 

デザイン墓石には、故人の個性を表現できるお墓がたくさんあります。なかでも、ガラスのお墓「光り墓」は、美しいアートガラスによる永遠の輝きで故人らしさを表現。故人との思い出を大切にしたい方を中心に、故人への「最後のプレゼント」にぴったりのお墓として人気を集めています。

 

「光り墓」に興味をお持ちの方は、カタログ資料やアートガラスのサンプルなども送付できますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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