お墓といえば、一般的に子孫へと代々受け継がれていくものであり、長く使われるからこそ墓石にこだわりたいという方も増えています。最近では、私たちがお墓と聞いてイメージする伝統的なタイプ以外にもさまざまな墓石が登場してきました。
この記事では墓石の種類について解説します。価格相場や選び方、おしゃれなデザイン墓石などを紹介していきますので、お墓を購入する際にはぜひ参考にしてみてください。
墓石の意味とは
そもそも墓石は何のために存在するものなのでしょうか。
墓石とは、お墓の場所を示す標(しるし)として建てる石のことです。お墓に石が用いられるようになったのは、耐久性と堅牢性の高さが理由でした。
上流階級だけが使っていた墓石が一般家庭にも広まったのは江戸時代だといわれており、明治時代以降は先祖代々、家ごとに引き継がれていきます。親から子へ、子から孫へと長い年月を承継していくお墓には頑丈な石が適していたのです。
石材を選ぶときの基準
墓石に使用される石材には多くの種類があり、それぞれ特徴や価格が異なります。バリエーションが豊富なので、どれを使えばいいのか迷ってしまう方もいるかもしれません。
ここからはお墓を建てる際の大切な要素である、墓石選びの基準を3つのポイントに分けて紹介します。
吸水率の低い石材を選ぶ
吸水率とは、石材がどのぐらいの水を吸収するかを測るための数値です。お墓は何十年も屋外に置かれるため、年月の経過とともに風雨に晒されて少しずつ水を吸収していきます。それによって劣化してしまうこともあるのです。
吸水率が高い石だと、水シミができたり、内部に染み込んだ水が凍り、体積が増えて膨張して石材の組織破壊へとつながる恐れがあるのです。そのため、一般的には吸水率が低く、水を吸いにくいほど石が長持ちしやすくなるといわれています。
ただ、石の風化は水分だけでなく、さまざまな要因が複合的に関係して起きる場合が多く、必ずしも吸水率だけですべてが決まるわけではありません。また、吸水率は同じ石でも個体差があるため、絶対的な基準ではなく目安の1つ程度に考えておくほうが良いでしょう。
見かけ比重の大きい石材を選ぶ
見かけ比重は、墓石の一定の体積あたりの質量を計算した指標で、重ければ重いほど密度が高いと判断されます。単位はt/m³(トンパー立法メートル)で表され、墓石の場合は2.5~3.0t/m³程度が基準です。
例えば、見かけ比重が3.0 t/m³の石の場合、1m四方の石材で重量3tと、かなりの重さになります。一般的には重い石のほうが、強度が高く耐久性にも優れているため長持ちすると考えられていることから、墓石に適しているといえるでしょう。
見かけ比重が大きい石の代表としては花崗岩、いわゆる御影石があげられます。御影石が墓石によく使用されている人気石材なのには、こうした理由も関係しているのです。
圧縮強度の高い石材を選ぶ
圧縮強度は、墓石がどれくらいの強度の力に対して砕けずに耐えられるかを示した数値です。単位はN/cm²(ニュートンパー平方センチメートル)で表され、高いほど頑丈な墓石と判断できます。
同じ石でも種類によって数値が異なり、御影石の場合なら、丈夫な石といえるのは600 N/cm²以上からです。お墓は子孫の代まで何十年も、場合によっては百年以上受け継がれていくものなので、圧縮強度を目安にし簡単には劣化しない耐久性の高い石材を選ぶようにしましょう。
一方で、硬い石にはデメリットもあり、加工に手間と時間がかかるため費用も高額になりやすい点には注意が必要です。
墓石によく使われる代表的な石の種類
墓石に使用される石材は300種類以上あり、特徴や色合い、価格、耐久性などもさまざまです。ここでは、バリエーション豊富な石材のなかから、特に墓石でよく使われる代表的な4種類の石について紹介します。
花崗岩
「花崗岩」は、マグマが地下でゆっくり冷え固まって生まれる岩石で、墓石に使われる石材のなかでもスタンダードといえる存在です。墓石でよく聞く「御影石」とは花崗岩の総称であり、神戸市御影付近が産地として有名だったため、御影石と呼ばれるようになりました。
他の石材と比較して吸水率が低く、風化に強くて耐久性にも優れているのが特徴です。御影石のもつ落ち着いた風合いはお墓にも最適で、色やツヤ、石質なども最高級とされており、日本における墓石の主流として高い人気を誇っています。
庵治石や大島石のような国産石材のほか、最近では外国産の御影石も増えてきました。丈夫さが売りの御影石ですが、熱には少し弱く火の傍など高温の場所だとひび割れを起こしてしまう場合があります。
閃緑岩
「閃緑岩」は、花崗岩と同じくマグマがゆっくり冷えてできる岩石です。どちらも同じ深成岩に分類されるため似ている部分があるものの、有色鉱物を多く含有する閃緑岩は、より黒っぽい色合いをしているのが特徴で「黒御影石」とも呼ばれます。
硬くて劣化・風化しにくく、磨くと光沢が出て高級感のある仕上がりになるため、お墓にもぴったりの石種です。日本国内では産出量が限られるため高級石材とされており、特に岡山県の「備中青みかげ」は日本国内でもトップクラスの高級墓石として有名です。
国産のほか、中国から輸入されている閃緑岩もあり、価格を抑えて高級感のあるお墓にしたい方には選択肢の1つとしておすすめです。
斑レイ岩
斑レイ岩は、マグマが地下深くで固まってできる火成岩の一種です。黒っぽい石が多く、なかでも特に黒いものは、閃緑岩と合わせて黒御影石と呼ばれます。閃緑岩とは内部に含まれる成分に違いがあり、斑レイ岩は閃緑岩と比較して、より色が濃くなっているのが特徴です。
非常に硬くて吸水率が低い性質をもち、耐久性が高く、経年劣化をしにくいため、石材として広く利用されています。表面を磨くと光沢が出て高級感があるところも墓石向きといえるでしょう。
国産の黒御影石は貴重で、なかでも福島県の「浮金石」は日本で産出される希少な高級御影石として有名です。頑丈さがあることに加えて、黒色の中に金箔をまぶしたような美しい見た目から、墓石のなかでも最高級との評価を得ています。
安山岩
噴火で吹き出したマグマが地上で急速に冷やされて固まったときにできる岩石です。二酸化ケイ素を含んでおり、全体的に粒が小さく、見た目は淡い灰色をしています。耐久性や耐火性、耐食性に優れ、風雨や紫外線にも強く、長期間外気に晒されても大丈夫なため、花崗岩に次いで多く墓石に使用されている石材です。
小さな粒が混ざり合って作られる斑点模様が特徴で、色や斑点のバリエーションが豊富なため、自分好みの石を選べるのも魅力の1つといえます。少し明るい色の墓石にしたい方は、安山岩を選んでみると良いでしょう。
国産の安山岩では、庵治石と並んで最高級石材として知られる神奈川県の「本小松石」や、青灰色が特徴的な山梨県の「本山崎石」などが知られています。
墓石のデザインの種類
墓石は石材だけでなく、デザインの種類も豊富です。私たちがお墓と聞いてイメージする伝統的なタイプに加えて、最近では洋風の墓石も人気で、さらにデザイン性に優れた墓石も登場してきました。ここからは、墓石のデザインによる分類を紹介していきます。
和型
江戸時代から使用されている墓石で、現在でも日本では最もよくみられる縦型のお墓です。お釈迦様の遺骨を祀った「仏舎利塔」が原型になったとされ、上から竿石・上台・中台・下台で構成されており、竿石から上台、中台はそれぞれ「天(家庭)・人(出世)・地(財産)」を表すといわれます。
和型墓石のなかには、特徴的な形状のものもあり、名前と特徴は次の通りです。
・大名墓……竿石の上に大名が被る傘を乗せたような形状の墓石。
・五輪塔型……自然界の5大要素を表す5つの部分で構成される塔のような見た目の墓石。
どちらも、もとは有力者のお墓に使われていました。
和型墓石は一般的なお墓のイメージに最も近く、伝統的なお墓を持ちたい方に人気があります。
洋型
外国映画などに登場するような、横に長くて背の低い欧米スタイルのお墓です。和型墓石より使用する石材量が少ないため安価で、狭いスペースにも建てられます。
洋型墓石にもいくつかの種類があり、名称と特徴は次の通りです。
・オルガン型……正面の名前を彫る部分が傾斜している墓石。楽器のオルガンに似ているため、この名前で呼ばれます。
・ウォール型……竿石が縦長になった洋型墓石。より小スペースで建てられるため、都市部の霊園などで採用されています。
・プレート型……名前を彫るプレートを直接地面に埋め込むタイプの墓石。使用する石の量がかなり少なく、それだけ価格も抑えられるのがメリットです。
モダンな外観と場所的な制約から、都市部の墓地や民営の霊園などで人気が高い墓石です。また、地震の心配から重心が低くて倒壊しにくい洋型墓石を選択する方も増えています。
デザイン型
伝統的なお墓のイメージとは異なる、独自性の高いデザインをもつ墓石です。多くはオーダーメイドで作られ、これまでのお墓では考えられなかったような色や形、素材など、豊富なバリエーションがあり、要望に応じて自分らしいお墓にできるところが人気を集めています。
・石碑が球体になっている墓石。
・2色以上の違う色の石材を使用した墓石。
・イラストやメッセージが彫刻されている墓石。
・一部にガラスを使用した墓石。
・ピアノや本、バイクなど、墓石全体に、故人が生前愛していたものを使用したユニークな彫刻を施した墓石。
など、アイデア次第でさまざまに個性的なお墓を実現できるのがデザイン型墓石の魅力といえるでしょう。
ひときわ目を惹くおすすめのデザイン墓石
お墓は子孫へと代々受け継ぐだけでなく、故人への贈り物でもあるため、できるだけ故人らしさを大切にした墓石を選びたいと考えている方も多いでしょう。そのような方には、デザイン墓がおすすめです。
多種多様なデザイン墓石から、特におすすめなのが、墓石に光を通すアートガラスをはめ込んだ「光り墓」。全面に石材を使用する通常のお墓と比べると、まるで光を放つように明るい印象になるのが特徴です。光り墓なら、たくさんのお墓が並ぶ霊園のなかでも目を惹き、すぐに自分たちのお墓を見つけられるでしょう。
デザイン墓石はオーダーメイドのものが多く、値段が高くなりがちな点を心配される方も多いかもしれません。しかし、光り墓はオーダーメイドだからこそ、予算に合わせて石材を節約したり、こだわりたい部分に費用をかけたり、ご遺族の希望に合わせたお墓を実現できます。
故人への想いを込めた「最後のプレゼント」として、ぜひ一度、光り墓を検討してみてください。
墓石の値段はいくら?
これまで墓石に使用される石の種類や墓石の形状などを説明してきましたが、墓石を購入する際に、最も気になるポイントはやはり価格ではないでしょうか。ここからは、墓石の価格相場についてみていきましょう。
お墓の情報サイト「いいお墓」が毎年実施している調査によると、墓石の平均購入価格は約160万~170万円となっています(※)。購入費用には墓石代のほかに、土地の利用料である永代供養料も含まれているため、墓石自体の価格はもう少し安くなりますが、それでも100万円を超える大きな買い物には変わりありません。
また、墓石の値段は地域や墓地の広さによっても異なるため、一概に調査内容だけで判断するのは難しいともいえます。墓石の価格に最も詳しいのはお墓を建立する地域の石材店です。墓石を購入する際には、まず石材店に相談して見積もりをとるようにすると良いでしょう。
(※参考:いいお墓「【第13回】お墓の消費者全国実態調査(2022年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向」)
墓石にかかる費用を抑える方法
一般的に墓石は高価な買い物です。できるだけ費用は安く済ませたいと考える方も多いでしょう。続いては、墓石の購入時にかかる費用を抑える方法を紹介していきます。
予算に合わせた石材を選ぶ
墓石を購入する際は、予算額に応じた石材を選びましょう。墓石の価格を大きく左右するのは使う石の種類と量です。需要が高い人気の石や採掘量の少ない希少な石はそれだけ高額になります。
予算に制約がある場合は国内産だけでなく、リーズナブルな中国産やインド産など海外の石を選択するのも1つの方法です。日本で採れる石にも安価なものはありますが、基本的に外国産は国産よりも安いケースが多いです。
近年では輸入石材もよく使われ、種類も豊富になってきました。安い石だと質が悪いのでは、と感じる方もいるかもしれませんが、国による人件費などの違いが関係しているため、一概に安いから品質が悪い、とはいえません。安くても質のいい石材もあるため、予算に合わせてしっかりと見極めるようにしてください。
都心ではなく郊外にお墓を建てる
墓地にかかる金額を抑えるのも、費用を安く済ませる方法の1つです。都心部の霊園はアクセスしやすく、お墓参りに便利で人気も高いのですが、土地の価格が高い場所は墓地の永代使用料も高額になる傾向があります。
費用を抑えたい場合、都心部でなくても問題がないようなら、使用料や管理費などが安くなる郊外の墓地を選択するようにしましょう。
ただ、あまり家から離れた墓地にしてお参りができなくなってしまうと本末転倒ですので、定期的に通えるかどうかをきちんと判断してください。また、最新設備の整った民間の霊園などは価格も高くなるため、公営墓地などを探してみるのもよいでしょう。
適度な大きさの墓地を選ぶ
墓地を選ぶ際には、予算に応じた適切な広さの場所を選んでください。墓地の面積が広ければ広いほど、使用する石材の量も多くなり、費用が高くなってしまいます。
小さな区画を選べば、お墓も小さなもので済むため墓石にかかる費用を抑えられるのです。墓地の平米あたりの価格は約15万~20万円程度とされ、都心部になると、さらに値段が高くなっていきます。
故人のためになるべく広くて立派なお墓を建ててあげたいという考えもあるとは思いますが、費用を安くしたい場合には、最小限のスペースに留めておくほうがよいでしょう。
複数の石材店で見積もり・カタログ請求をする
墓石の値段は石材店によって異なる場合があるため、購入の際には複数の業者から見積もりをとるのがおすすめです。石材店によって扱っている石の種類が違うため、相見積もりをとると価格が大幅に異なっている場合もあります。
一方で、値段だけで安易に石材店を選ぶのは避けたほうがよいでしょう。他社と同じ石材を使っているのに極端に安い価格設定の業者や交渉によってどんどん値段を下げていく業者には注意が必要です。
価格だけではなく、品質がいいかも考え、きちんと信頼できる業者かどうかを確認するようにしましょう。見積もり担当者の態度や説明の丁寧さなどを見ながら、総合的に誠意があると感じられる石材店を選ぶようにしてください。
墓石の掃除・お手入れ方法
故人にとってもご遺族にとっても大切なお墓。建てた後は長くキレイに保ちたいものです。最後に、墓石を購入した後の掃除・お手入れ方法を紹介します。
墓石をキレイに保つためには、長期間汚れたままにしないのが重要です。どれだけ高価な墓石であっても手入れを怠ると時間とともに荒れ果てていきます。月に1回程度はお墓の掃除を実施するようにしましょう。
お墓掃除の手順
1、まずは敷地内の清掃から。雑草を取り除き、落ち葉やゴミなどを掃除します。
2、墓石の掃除を行います。墓地にあるバケツで水を汲み、柔らかい布を使って石塔の上から下へと丁寧に汚れを拭き取っていきましょう。
3、花立や水鉢、線香立てなど細かな部材の清掃です。付属品はステンレスやプラスチックなど素材もさまざまなため、それぞれに適した清掃方法を行ってください。
4、清掃後は、お供物と線香を供えてお墓に手を合わせましょう。お墓の掃除は故人と向き合える大切な機会でもあるため、近況報告なども行ってみてください。
故人との思い出が蘇るような墓石を選ぼう
墓石選びでは、使う石材やお墓のタイプなど、さまざまな種類があるため迷ってしまう方も多いかもしれません。墓石は子孫へと長く伝えていくものですから、本記事で紹介したポイントを参考に、どのようなお墓が故人や遺族にとって最良かを考えながら選んでください。
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