お墓にかかる費用は建立の際だけでなく、建立後も墓地の管理料など、さまざまな形で維持費が発生します。きちんと維持できるか、ずっと承継していけるのかなど、不安に思っている方も多いかもしれません。
この記事ではお墓にかかる維持費はいくらぐらいになるのか、払えないとどうなるか、払えなかった場合の対処法などを解説します。
お墓の維持費の内訳と金額相場
まずは、建立後のお墓にかかる維持費の種類と、どれくらいのお金がかかるのか、一般的な金額の相場をみていきましょう。
墓地・霊園へ払う年間管理費
お墓を建てた後は、毎年、墓地や霊園への年間管理費が発生します。霊園における土地の利用料はお墓を建立する際に永代使用料として一括で支払うため、管理費はかからないと思っている方もおられるようです。しかし、年間管理費は墓地の水道代や共用部の管理・清掃などに使われる費用のため、お墓がある限りは墓地・霊園に対して毎年払わなければなりません。
支払いは、年に1回から2回。金額相場は墓地の管理・運営者によって異なり、一般的な価格は次の通りです。
寺院墓地:年間5,000円~15,000円程度
公営霊園:年間2,000円~10,000円程度
民間霊園:年間5,000円~20,000円程度
上記の金額はあくまでも目安で、実際の管理費は設備や立地などによっても大きく変わります。交通アクセスの良い市街地や設備の整った霊園、墓石や納骨堂が建物の中にある室内霊園など、利便性の高い墓地・霊園では管理費も高額になる傾向があります。
お墓の修繕費
お墓は何十年、ときには百年以上にわたって代々受け継がれていくものです。一方で、長年屋外で風雨にさらされるため、使い続けると墓石が欠けたり、ヒビが入ったり、傾いたりなどのトラブルが起こり、修繕費が必要になるケースがあります。
お墓の修繕価格は作業内容で異なり、墓石の小さなヒビや欠けの修理なら3万~10万円程度が相場ですが、傾きを直す工事の場合は、小・中規模の墓石でも30万~100万円程度になります。傾きが大きく、墓石を全て解体して基礎工事からやり直すような大掛かりな工事になると、100万~200万円程度必要になるケースもあるでしょう。
時間が経った墓石の経年劣化は避けられない現象のため、きちんとした状態で維持するには、石材店に依頼して定期的にメンテナンスをするのがおすすめです。普段からこまめなメンテナンスやクリーニングを心がけておけば、大きな破損やトラブルの防止にもつながります。
お墓参りに必要な費用
普段、お墓参りをする際にかかる費用で、必要な金額は人それぞれ異なります。お墓には、お花やお供え物、線香などを持っていくのが一般的なため、価格は通常1,000~2,000円程度です。特にいくらでなければならないと決まっているわけではないため、故人の好きだった食べ物や飲み物などを用意してあげると良いでしょう。
ほかにも、お墓が実家や地元などの遠方にある場合には、交通費や宿泊費も考慮しなければなりません。
また、お参りの費用は、お墓に通う頻度によっても変わってきます。お盆やお彼岸、故人の命日など、ある程度決まった日だけに参るのであれば、必要な費用の回数も限られますが、月に一度のお参りを欠かさない方なら、それだけお墓参りにかかる費用も高くなっていくでしょう。
お寺へのお布施や寄付
寺院の檀家として墓地を使わせてもらっている場合は、定期的にお寺に対するお布施や寄付も必要になってくる場合があります。例えば、身内の葬儀や法要の際に墓前での読経を行ってもらう場合には、僧侶へのお布施を包まなければなりません。
また、檀家は墓地の管理費のほかにもお寺の修繕費や改修工事費を寄付するのが一般的とされています。お布施にかかる金額としては、法事の際は3万~5万円、葬儀の場合は20万~30万円、法要に参列する場合は3,000~5,000円程度が相場です。
お寺の建物に修繕や建て替えが必要になった場合の寄付額は、寺院との関係や檀家によって異なるものの、10万円単位での寄付を依頼されるケースもあるようです。
お墓の維持費は家族が払う?祭祀承継者の決め方
平均して年間で1万円程度必要になるといわれるお墓の維持費は、家族のうち、誰が負担するべきなのでしょうか。
一般的には、管理や維持費の支払いはお墓を相続した承継者が行うとされています。お墓を引き継ぐ人は、被相続人の口頭や手紙などによる要望・指定によって決められ、故人の子どもや配偶者など、葬儀で喪主をつとめ、近い将来同じお墓に入ると考えられる遺族や近親者がほとんどです。
誰が受け継ぐか、特に指定されていないケースでは、遺族間で話し合いを行って決めると良いでしょう。一般的に承継者は1人とされていますが、維持費の負担が大きい場合などは、子ども同士や兄弟同士など、複数の遺族が費用を出し合って管理するのも1つの方法です。
お墓の維持費が払えない場合はどうなる?
お墓の維持費は墓地を使用する限りはずっと払い続ける必要があるため、今後負担に耐えられなくなり、支払えなくなってしまう可能性もゼロではありません。万一、管理費が払えなくなると、墓地を利用できなくなるため、お墓が撤去されてしまう場合もあります。
霊園によって規定は異なるものの、管理費を滞納したまま長期間放置しておくと、墓地の管理者によりお墓が強制的に処分される恐れもあるでしょう。お墓を撤去した後の遺骨は、他の方と一緒に墓地にある合祀墓に納められるのが一般的です。
合祀墓に入っても年に数回の合同供養が行われるため、故人の供養に関しては大きな問題は生じません。ただ、複数人の遺骨を一緒に埋葬する形式のため、一度合祀墓に入るとほとんどの場合は故人の遺骨を取り出すことが不可能になる点には注意しましょう。
お墓の維持費が払えない場合の対処法
お墓の管理費が払えない場合、撤去されて遺骨が合祀墓に納められてしまうのを避けるには、持ち主自らがお墓を撤去する「墓じまい」を選択すると良いでしょう。お墓を撤去する点には変わりないものの、墓じまいなら遺族が次の埋葬方法を決められるようになります。
墓じまいでは、墓石を撤去するほか、墓地の区画を更地にして返還する必要があり、専門業者などに依頼して10万円以上の費用がかかるほか、お寺の檀家を辞める場合には離檀料も必要な場合が多いです。
しかし、それ以降の埋葬方法は自由で、遺族に代わって墓地・霊園の管理者が供養等を行ってくれる永代供養墓や樹木葬、海や山など自然の中に遺骨を還す散骨、自宅に遺骨を持ち帰る手元供養など、さまざまな選択肢から故人・遺族にとって最適な方法を選べるのは大きなメリットといえるでしょう。
お墓の維持費を安く抑える方法
建立後、長年にわたって払い続けなければならないと思うと、お墓の維持費に不安を感じる方も多いかもしれません。ここからは、負担を少しでも減らすため、お墓の維持費をできる限り安く抑える方法について解説します。
公営霊園にお墓を建てる
公営霊園とは、都道府県や市区町村によって運営・管理が行われている墓地で、寺院墓地や民間霊園と比べて費用を抑えられるメリットがあります。上記の年間管理費のところでも少し触れましたが、公営霊園の管理料は年間2,000~10,000円程度となっており、寺院墓地や民間霊園が5,000~20,000円ほどかかるのに対して、比較的安いのが特徴です。
また、民間霊園のように石材店の指定もないため、墓石や業者を選ぶ際の自由度も高くなっています。ただし、利用するのに条件や抽選があったり、施設やサービスが民間と比べて劣っていたりする点には注意が必要です。
掃除や定期的なメンテナンスをする
お墓の維持費を抑えたい場合、定期的なお墓の掃除・メンテナンスを欠かさないようにしましょう。長期間手入れをせずに放っておくと、汚れや経年劣化などが蓄積されていき、お墓の傾き、倒壊のような大きなトラブルにつながる恐れがあります。
こまめにお参りして掃除やメンテナンスを心がければ、お墓を長持ちさせられますし、小さな傷にも気づけるため、大きな破損が起きる前に修理が行え結果的に維持費を抑えやすくなります。定期的に通えるよう、墓地を選ぶ際は家の近所など遺族がお参りしやすい場所にすると良いでしょう。
安心して後世へ承継できるお墓を建てよう
墓石代や工事費はお墓を建立する際にだけかかる費用ですが、年間管理費やメンテナンス費といった維持費は建てた後もずっと払い続けていかなくてはなりません。お墓の維持費は墓地の種類や場所によっても変わってくるため、お墓を購入するなら、どこに建てるべきかについても家族としっかり話し合って決める必要があります。
また、維持費を抑えたい場合、どういった墓石を選ぶかも大きな問題です。おすすめしたいのが、ガラスの墓石「光り墓」。ガラスを使用したお墓は、通常の墓石よりも汚れが付きにくいため、掃除が簡単です。さらに、長期的にメンテナンス費用を安く抑えられるメリットもあります。
個性豊かなお墓を建てられる光り墓は、故人へ最後の贈り物としても人気で、現在注目を集めているデザイン墓石の1つ。お墓の維持費について気になっている方は、カタログ資料の請求など、ぜひお気軽にご相談ください。