墓石の修理にかかる費用相場とは?お墓を修理する目安や流れについて解説

監修者の紹介
三輪彰
【資格】
一般社団法人 日本石材産業協会認定 お墓ディレクター1級
【経歴】
業界経歴20年以上。 石材メーカーで営業部に所属し、小売店様へ石材店卸で培った豊富な知識と、採石から施工までの一貫体制でお客様のサポートを行う。 昨今では、光り墓や石材コーティングの提案などもしている。

お墓を建立して時間が経つと、墓石にひび割れや欠けなどが発生してしまうケースがあります。しかし、すぐに修理が必要な傷み具合なのか、わからない場合も多いかもしれません。

この記事ではお墓の修理を行う際の目安やかかる費用の相場、修理の流れなどについて解説します。

 

お墓の修理が必要なケースとは

はじめに、お墓の修理が必要になるケースについてみていきましょう。墓石は年数が経つにつれて風雨や台風、地震など天候や災害の影響により、徐々に劣化が進んでいきます。しかし、修理が必要かどうかまでは一般の方にはなかなか判断しにくいものです。

お墓参りに行かれた際は、以下の問題が起きていないかを確認するようにしてみてください。

 

墓石の目地が割れている

 

墓石修理の症状として多いのが、お墓の目地が割れてしまうケースです。お墓に使われる石材同士の繋ぎ目部分を目地といい、経年劣化によって収縮・膨張し、割れや隙間ができてしまう場合があります。

 

割れや隙間などを放置していると、内部に雨水が入り込んでカビやシミなどができる原因になるため早めの修理が必要です。住宅でも年数の経過とともに目地の直しが発生するケースがありますが、墓石の場合も同様に目地は傷みやすい箇所といえるでしょう。

 

目地割れの修理では、シリコン系コーキング材を充填して隙間を埋めていく方法が一般的です。ただ、コーキング処理を行ったところも施工から10年ほど経てばメンテナンスが必要になるため、目地の割れは普段から注意して見ておきたいポイントです。

 

墓石の表面にひび割れ・欠けがある

 

お墓の表面にひび割れや欠けが見られる場合にも修理が必要です。目地の割れと同様に、墓石本体のひび割れや欠けも、お墓の修理ではよくある症状の1つです。墓石の表面は一見つるつるしているように思えますが、実は小さな無数の穴が開いており、雨水の侵入により穴に亀裂が生じてひび割れや欠けが発生してしまうことがあります。

 

また、台風、雷雨など天候による周囲の温度差や海に近い場所で発生する潮風の影響、地震の揺れや鳥がクチバシでつつくといった外的要因などによってもひび割れ・欠けが起こるケースがあるため注意が必要です。

 

欠けやひび割れを放置しておくと、墓石の劣化につながるため、発見した場合は早めの修理が望ましく、そのままにすると修理費用がより高額になってしまう恐れもあります。

 

墓石が傾いている

 

地震などの影響で、墓石がずれたり、傾いた場合も修理をしなければなりません。墓石のずれや傾きが起こる原因としては、地震による揺れの衝撃で石材同士をつないでいる目地が切れてしまうケースのほか、経年劣化や雨水の侵入、地盤沈下、土砂崩れの影響などが考えられます。

 

特に、お墓が建っている場所の地盤が緩くなったり、霊園にある木の根が影響した場合などは、墓石や基礎の一部分を撤去して地盤を改良したり、木の根を取り除いたりしなければなりません。修理費用も高額になりがちで、厄介なケースといえるでしょう。

 

一方で、傾いたお墓を放置すると最終的に倒壊してしまう恐れもあるため、少しでも異常に気づいたら早めに対応するようにしてください。

 

彫刻した文字が色褪せている

 

墓石の彫刻にペイントを施している場合、文字の塗装は経年劣化によって徐々に薄れていくため、色褪せてきた際には修繕が必要です。色落ちのしやすさはペイントの色によっても異なり、赤色の文字は紫外線を吸収しやすいため、よく文字が退色してしまいます。

 

ほかに、白文字も薄れて何が書いてあるのか見えにくくなりやすい色です。また、お墓参りで掃除をする際、文字の部分を強くこすりすぎるのも色が薄くなる原因になるため注意してください。

 

文字が色褪せているとお墓が全体的に古びた印象になってしまうため、色落ちしてきたと感じた場合は、塗装の入れ直しを行うようにしましょう。

 

墓石のひび割れや傾きを放置するリスク

 

墓石にひび割れや傾きなどが発生しているにもかかわらず、そのままにしておくと、最終的にはどのような問題が起きるのでしょうか。続いては、お墓の傷みや経年劣化を放置し続けるリスクについて解説します。

 

倒壊すると建て替えが必要になってしまう

 

墓石のひび割れや傾きなどを放置していると、お墓が倒れて建て替えが必要になる恐れがあります。はじめは小さな亀裂でも修繕しないままにすると、雨による浸食や地震の揺れなどの影響を受けてだんだんと大きな亀裂になっていき、最終的には墓石の倒壊に結びつく可能性が高くなります。

 

一度倒れてしまった墓石は大きな割れや欠けた部分の修繕が難しくなる可能性が高く、新しい墓石を作って建て直さなければならなくなるケースもあるため、高額な修理費用がかかってしまいます。

 

倒壊によって他人に被害を与える危険性がある

 

墓石の倒壊は、単に修理が困難なだけでなく周囲のお墓にも被害をおよぼす恐れがあります。倒れた衝撃で近くの墓石を傷つける可能性があり、倒壊時、近くに人がいればケガを負わせてしまう危険性もあるでしょう。

 

お墓の修理を怠ったために他人に被害を与えてしまった場合には、修理費の弁償や治療費の支払いといった責任を問われる可能性も出てきます。墓石のひび割れや傾きは、自分だけの問題ではなく周囲にも迷惑をかけるリスクがあるのです。

 

お墓を修理する流れ

お墓のひび割れや欠け、傾きは放置すると大きなトラブルに至る恐れもあるため、早めの修理が望ましいです。実際に墓石を修理する場合、どのようにして進めれば良いのでしょうか。ここからは、お墓を修理する際の流れを解説します。

 

お墓を建立した石材店に連絡をする

 

はじめに、お墓を建ててもらった石材店に連絡をとり、修理を行いたい旨を伝えてください。墓石の修理作業は基本的に石材店に依頼するもので、最初に建立した業者であれば、お墓の材質や構造などをきちんと把握しているため修理も頼みやすいでしょう。

 

ただ、代々引き継がれているお墓で、建立した業者がすでに無くなっていたり、どこが工事をしたのかわからなかったりする場合には、ほかの石材店を探す必要があります。新しい業者に依頼する際は、いくつかの石材店で話を聞いてみて、信頼できるところを見つけるようにしてください。

 

見積もりをとって金額に納得してから依頼する

 

お墓の修理は高額になるケースも多いため、依頼する際は、きちんと見積もりをとり金額に納得した上で石材店を決めるようにしましょう。修理費用は壊れている箇所や施工の内容によって異なるため、事前にどのくらいの金額になりそうか、大まかに把握しておくと安心できます。

 

石材店にはお墓の損傷状態を詳しく伝えるとともに、どのような工事を行うのか説明を受け、費用の内訳がわかる見積もりを出してもらって修理内容と金額に納得してから依頼するようにしてください。必要に応じて、複数の業者から相見積もりをとるのも有効な方法です。

 

お墓の修理にかかる費用

 

お墓の修理を依頼する際、多くの方が気にされるのが費用面の問題です。墓石修理にかかる費用は損傷の種類や大きさによって異なるため、一概にはいえないものの、おおむね以下の金額が必要です。

 

・目地の修理……3~5万円
・墓石のひび割れ……3~5万円
・墓石のずれ……3~10万円
・墓石の傾き……~200万円

 


目地修理など、コーキング材の充填で済む場合には数万円程度ですが、例えば、墓石のひび割れでも内部まで損傷が及んでいるケースでは、修理費用がさらに高額になる可能性もあるでしょう。

 

また、墓石の傾きは一時的なお墓の撤去や地面の工事が必要となるなど、ほかの修理工事と比べて費用も高くなる傾向があり、なかには200万円ほどかかるケースもみられます。

 

お墓の修理にかかる費用を抑えるには

 

墓石を修理しようとすると、内容によっては百万円以上の金額が必要になるため、できるだけ安く済ませたいと考える方も多いでしょう。続いては、お墓の修理にかかる費用を抑える方法について解説します。

 

複数の石材店から見積もりをとる

 

費用を抑えたい場合には、複数の石材店から見積もりをとって比較してみるのも1つの方法です。基本的に、お墓の修理は建立してもらった石材店に依頼するのが最もスムーズですが、いくつかの業者にあたれば、さらに安い値段で引き受けてくれる業者が見つかるかもしれません。ただ、墓地や霊園によっては利用できる石材店が指定されている場合もあるため注意が必要です。

 

また、相場よりあまりにも安い価格を提示してくる業者にも気をつけましょう。後から追加費用を求められて結局高くなってしまったり、お墓に適していない石材を使われたりと、石材店選びではトラブルが発生していることも少なくありません。価格だけで決めるのではなく、担当者の話を聞いてみて、きちんと信頼できる業者かどうかを見極めましょう。

 

定期的なメンテナンスを行う

 

墓石の修理費用を抑えるには、長持ちさせるのが大切であり、お墓が傷むのを未然に防ぐためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。小まめに足を運んでお墓参りと掃除を行い、必要に応じて石材店によるメンテナンスを受けましょう。

 

普段の手入れに特別な技術などは必要なく、水とタオルを使って拭き掃除をし、雑草を抜いて綺麗にするだけで十分です。マメにお墓参りをしていると、墓石にできたキズやひび割れにも気づきやすくなるでしょう。

 

もし気になる箇所を見つけた場合は、大きな問題になる前に早めに石材店に相談して対処するようにしてください。もしお墓が遠方にあって日常的に通うのが難しい方は、将来も考えてお墓の移動・移転などを検討してみるのも1つの方法です。

 

墓石の損傷が多い場合はお墓の建て替えも検討

 

墓石の傷み方がひどく、修理だけで対応できない場合はお墓の建て替えも検討してみてください。損傷の規模によっては石材店に頼んでも、修理は難しいといわれてしまうケースもあるでしょう。

 

また、修理をしても、年数の経った墓石であれば、見た目はやはり古いままのため、より美しい外観のお墓でご先祖様を供養したいとの思いから建て替えを考える方もいます。損傷の種類が多いケースや複数箇所におよぶケースなどでは、細かな修繕を重ねるよりも新しいお墓を建てるほうが安心です。墓石修理は、内容によって百万単位の金額が必要になるため、結果的に費用を抑えられる可能性があるでしょう。

 

お墓をいつまでも美しく保とう

毎日雨風や強い日差しに晒され続けているお墓には経年劣化として、ひび割れや欠け、ずれなどの不具合が生じる場合があります。問題に気づいたら、倒壊など大きなトラブルになる前に修理を行うとともに、お墓を長持ちさせられるよう普段から定期的なメンテナンスを心がけましょう。

 

もし、損傷が大きく修繕だけでは対処できないケースや年数が経って見た目が気になるようなら、お墓の建て替えを検討するのも1つの方法です。

 

最近では、デザイン墓石と呼ばれる個性豊かな墓石が登場しており、故人らしい特別なお墓で供養を行いたいと考える方も増えています。なかでも、人気なのがアートガラスを利用したガラスのお墓「光り墓」。墓石修理をお考えの際は、故人への最後の贈り物として、新しいお墓への建て替えを検討してみてはいかがでしょうか。

 

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